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幻燈の獏その後にて

  

改めまして関係者皆様、ご観劇下さった皆様おつかれ様でございました

前回の考察の内容で一つ申し開きをしなくてはと思い
書ききれなかったことを追加させて頂きたいと思います

この前、縣ミドリについての役作りのきっかけとなるシーンのお話しを致しましたが
それは脚本を読んだ当初の私の考察の視点でした
しかし、リハーサルが始まり本番を迎えた頃に私は気づいてしまったんですね

最初、甘粕の命令に背いて大杉栄の子供を生かしたまま井戸に捨てた(助けた)と私は解釈していました
だから二十面相はその時の生き残った子供であり過去からの追跡者であると

しかし、

ご覧になった方はお分かりになったでしょうか?

違うのです。あれは甘粕正彦の罪の意識が作り出したトラウマとゆう悪夢。幻影なのです

大杉栄を甘粕が斬首した時の逃れられない悪夢だったのです

つまりミドリは甘粕の命令に従ったはずで。実際には妻子を殺したのでしょう
それと同時に甘粕と共にその苦しみと罪を背負う道を選んだのだと私は思いました

最初の解釈は覆されましたが、それでもやはり
ミドリは強い女であることに違いなく愛ゆえの情念は揺るぎないものでした

この物語には夢と現実が幾重にも交差してゆく複雑な脚本です

大杉栄は姫宮博士ではないし
井戸の子供は二十面相ではない

そして、二十面相と明智小五郎は一体何者であったのか?

もぅ、気になる事だらけです
ぜひぜひ推理なさってみてください

この江戸川乱歩からの挑戦状のような脚本を書かれた演出家の細川さん^^

次回作を心より楽しみにしております